ソルバー初心者による初めての集合分析:CB編

みなさん、こんにちは!

 

てちろーと申します。

 

みなさん、CBをちゃんと考えて打ってますでしょうか?

 

 私は正直なところ最近まで雰囲気で打ってました。なんとなく、オープン側に有利そうなボードだったらCB。ローボードでドローの多そうなボードや、色が同じモノトーンはチェック。額はハーフポットから70%くらい?

 私以外にもそんなに考えずに、「とりあえずビール」的なノリでとりあえずCBを打っている方も多いのではないでしょうか?ただ、よくよく考えてみると、CBはポーカーをするうえで非常に多く対面するシチュエーションであり、それを毎回テキトーな感覚でプレイをするのはとても損な気がします。ですので、今回はCB戦略について真面目に分析をしてみようという回でございます。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 

そして、改めての注意書きにはなりますが、この記事は、私が知っている知識や学んだ知識を皆さんに教えてあげるよーという記事ではございません。

 あくまで、自分が学んだことを文章として書くことで、より深く理解、整理するために書いてます。なので、間違ったことも平然と書いてあると思いますし、100%自己満足のための記事なのでそれを踏まえて読んでいただけると幸いでございます。

 

① 解析方法について

 今回はPioSOLVERを使って解析を行います。マイクロステークスを攻略するのに高度な解析ツールは不必要であるというのが私の持論ですが、5NLzから10NLzに移行する際に自分へのご褒美として買ってしまいました。円安効果もあって安い買い物ではありませんが、使用後の感想としては本当に買って良かったと思えるほど大満足しています。

 

 PioSOLVERの基本的な使い方といたしましては、IP(インポジション)側とOOP(アウトオブポジション)側のハンドレンジをそれぞれ入力し、出てくるボードを指定することで、それぞれの最適な戦略や頻度を導き出してくれます。

 

 今回はBTNがオープンしてそれをBBがディフェンスする最もありがちなシングルレイズポットのシチュエーションを想定します。BTNのオープンレンジとBBのコールレンジに関しては購入したソリューションを使用しているため詳しく公開することはできませんが、おおむねゼロスレンジやスノーウィーレンジなどと同じレンジのため、解析結果に大きな差は出ていないと思います。74種類のボードを設定し、CBのサイズを100%(ポットベット)、70%、33%、0%(チェック)に設定し、集合分析を行いました。

 

 

② 全般的な傾向

 集合分析を終えると、こんな感じでエクセルファイルで見ることができます。これは私が見やすいように加工した後の図になります。J列(青)が100%、L列(緑)が70%、N列(赤)が33%、P列(オレンジ)が0%、つまりそのボードでのチェックの頻度になります。

 

 まず、最初に注目したのは全ボードのチェックの平均値でした。これが分かれば全体的にどのくらいの頻度でCBを打てばいいのかがわかります。結果は35.8%。つまり100%から35.8%を引いた64.2%が適切なCB頻度の平均値ということになります。一般的に言われている適切なCB頻度60%前後というのを聞いたことがありますから、違和感の無い数字です。

 

 では、次に出てくる疑問はどのようなボードでたくさんCBを打ち、どのようなボードでチェックに回すべきなのかという問題です。

これは、74ボードの平均CB率とそれぞれのIP側のEVの高さを表したものになります。横軸はEVの高さを表しており、右に行けば行くほど、IP側、つまりBTN側にとって有利なボードであることを示しています。

CB率とEVについて(縦軸:CB率、横軸:IPのEV)

 グラフの傾向としてなんとなくEVが高いハンドはCB率が高い傾向にありそうです。これら2つの数字に何かしらの関係性があるかを知るために相関係数を調べてみたところ0.57という数字が出てきました。専門家の記事によると0.5は正の相関関係にあり、全般的にBTN側のEVが高いボードでCBを打つ傾向があるということが言えるでしょう。

 

 

 

ここからわかったことはつまりこういうことです。

 

 

 

 

 

BTN側はEVが高い、有利そうなボードでCBを打つ傾向がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことはみんな知っている!!!

 

 

そうです。そんなことはみんな知っていて、当たり前のようにやっているのですが、あえて私が、今回データを使って証明してみたのです。ですので、基本的な考え方はオープン側が有利そうなボードで打つでいきましょう。

 

③ 個別のボードについて

 全般的な傾向が分かったことで、次は個別のボードの傾向を見ていきます。まず、チェックに回す頻度が高いボードを探るべく、チェック頻度の高い順にボードを並び替えてみます。

 先ほどの理論で行くと、チェック頻度が高いのはBTN側のEVが低いボードということになります。確かに、IP側のEVの低い代表格であるモノトーン(3枚同じスーツ)は上位10ボードにランクインしています。一方で、EVが高いにもかかわらず、高頻度でチェックするハンドが複数あるのを発見しました。

 

 それらの代表選手がラインを引いてあるAdJs2s、AcKd5s、AdQs4sになります。これらのハンドの共通点として、①EVが高いにも関わらずチェック頻度が高い。②ベットサイズはポットベットという高いベットを使っている(70%、33%はあまり使わない)③ドローがあまりないボードという点を見つけました。これは興味深い発見で、何かしらの法則性がありそうです。法則性が発見できれば、今後似たようなシチュエーションを迎えたときに応用することができます。

 

法則性を探る!!

 これらの3つのボードの共通点として考えられるのは、IP側が強いハンドを一方的にキャップしている状態だということです。例えば、AcKd5sを例にあげると、この時点での強いハンドはセット(AA、KK、55)と2ペア(AK、A5、K5)ということになります。この強いハンドの組み合わせを考えたときに、BTN側にはK5oを除くすべてのレンジがある一方で、BB側には55,A5o、K5sくらいしか強いハンドがないからです。BB側がAA、AKなどを持っていた場合に3BETをしているでしょうから、このシチュエーションではBB側に強いハンドが極めて少ない状況になっています。

 

 いろいろ分析しているうちに見つけた傾向として、こうした片方が一方的に強いレンジを抑えているケースでは、PioSOLVERが大きい額のベットを推奨する傾向があります。解析ソフトは残念ながら理由は教えてくれませんが、考えられる理由としては、キャップされている側(強いハンドの可能性がない)は、相手にナッツ級のレンジを抑えられているため、レイズによる抵抗がしにくいからだと思われます。ほかにも理由はあるのでしょうが、私が思いついたのは残念ながらこれくらいです。有識者の方でわかる方がいたらぜひ教えてください。

 

仮説を検証する

 今回、集合分析の結果から、CB戦略の1つの戦術として、ナッツ級のレンジを一方的にキャップしているボードでは大きいベットor高い頻度でチェックを打つという両極端な(ポラライズ)戦略をとることが有効であるという仮説を立てました。この段階ではあくまで、同様の傾向を持つ3つのボードの共通点を探し出したにすぎず、他のボードにも応用できるとは限りません。あくまで仮説の段階です。

 

 

仮説は実証して初めて真実になる。昔見ていたドラマで福山雅治さんがかっこよく言っていたセリフです。

 

ということで、実証実験を行ってみましょう。

 

BTN VS BBでBTN側がナッツ級レンジを一方的にキャップしているボードを24ボード用意して集合分析を行ってみました。出てきた分析結果が以下のグラフになります。

(上と同じボードでも数値が少し違うのはパソコンのスペック不足のため、ターン以降のベットサイズの選択肢を少し減らした設定にしたためです。傾向を探るのに大きな影響はないと思われます。)

 

 


J列(青)がポットベットの頻度ですが、74パターンの分析の時と比べて比率が非常に高いことがお分かりいただけると思います。実際74パターンのボードの平均ポットベット頻度は11.3%であったのに対して、今回の24ボードでは19.7%にまで上昇しています。また、チェック頻度についても74パターンの平均である35.9%に対して、24ボードでは47.4%にまで上昇しています。

 

以上のことから、CB戦略の1つの戦術として、ナッツ級のレンジを一方的にキャップしているボードでは大きいベットor高い頻度でチェックを打つという両極端な(ポラライズ)戦略をとることが有効であるという仮説は実証されたと勝手に判断したいと思います。

 

 補足の検証としてもう一つ調べてみたことがあります。BTN VS BBではナッツ級のレンジがキャップされていることが多いが、UTG (6MAX)VS BBではどうなるのか?という点です。

 

そうです。確かにBTNからのオープンに対してはAJやAQは高い頻度で3BETすることが一般的ですが、UTGからのオープンに対しては、AJやAQをコール止めするケースも多く、BB側にも上のツーペアなどの強いレンジが存在することになります。実際に、私の使用しているレンジでは、AKはオフ、スートともに100%の頻度で3BET、AQはオフはほぼコール止め、スートは100%3BET、AJはオフは100%コール止め、スートは頻度で3BETという感じになっています。そうなると、IP側が大きいサイズのベットを使いにくくなるのでは?という仮説が立ちます。

 

思い立ったらすぐ回す。最初のAdJs2s、AdQs4s、AcKd5s、をUTG VS BBのレンジに変更して検証してみました。その結果がこちらになります。

 

なんと、ポットベットの頻度がAdJs2sで20.1%から2.2%にまで、AdQs4sで27.2%から3.9%にまで減少しました。一方で、AcKd5sは21.7%と高いサイズのベットが残っています。これはBB側のAKはオフとスートともに100%3BETに回しているからだと考えており、ナッツ級のレンジを一方的にキャップしている状況がここでも再現できているからだと推測できます。ただし、AcKd5sのチェックの頻度もかなり減っているという変化も起きており、この問題については研究を続けていきたいと思っております。

 

大きいベットサイズを検証する

 仮説が実証されたところでもう一つ確認しておかなければならないことがあります。大きいサイズのベットと高頻度チェックのポラライズ戦略が有効なことはわかったが、大きいサイズはどれくらいのサイズを打てばよいのか?という点です。

 

 最初の分析では大、中、小的なノリでベットサイズを100%、70%、33%に設定いたしましたが、100%よりももっと上のサイズでもOKなのでは?という疑問も残ります。ということで早速検証です。大きいサイズを積極的に使う24ボード(BTN VS BB)の中から高いベット額を利用していた10ボードにご登場いただき、ベットサイズをポットの200%、150%、100%の大きいサイズ3種類に限定して解析を行いました。結果がこちらになります。ちなみに200%が青、150%が緑、100%が赤です。

 

 

うーん、微妙・・

 

平均頻度で見てみると、200%(ダブルポット)が11.1%、150%ベットが15.6%、100%ベット(ポットベット)が10.3%と、結構ばらけています。ただ、10ボードの中でもばらつきが少なく、どのボードでも一定の頻度がある150%ベットが選択肢としては一番安心感がありそうです。ですので、大きいサイズのベットを使うときは150%ベットを積極的に採用することに決めました。

④ まとめ

 いかがだったでしょうか。長くなってしまいましたが、今回のまとめといたしましては、①BTN VS BBの平均CB頻度は64.2%、②オープン側のEVが高いハンドでCBを打つ傾向にある、③ナッツ級のレンジを一方的にキャップしているボードでは大きいベットor高い頻度でチェックを打つという両極端な(ポラライズ)戦略をとることが有効であるという3つの話題を上げさせていただきました。

 

 特に③については私の中ではかなりの有益な発見ではあったのですが・・・

 

 

 日本のトッププレイヤーの1人であるLillianさんが2021年3月21日に発信されている「新たなるCB戦略の開発」というnote記事で詳しく分析されていました(笑)。noteを購入して拝読させていただいたのですが、私よりもとても細かく、かつ、正確に分析されているので、興味が沸いた方は読まれることを強くお勧めいたします。

 

 ということで、文字通りの100%自己満足の集合分析になってしまったのですが、今までテキトーにやっていたCB戦略を深く考え直す良いきっかけになったので、良しとします。

 

以上、ソルバー初心者による拙い集合分析記事でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。