5NLz 奮闘記②

 こんにちは。てちろーと申します。

 

 皆さん、ポーカーやってらっしゃいますでしょうか。

 私は結構やってます。

 

 今回は5NLz 奮闘記②ということで前回の話の続きになります。まだ、そっちを読んでいない人はぜひ先に読んでから、こちらも読んでみてください。

 

 前回は、5NLzの結果や環境分析などの小難しい話がメインではありましたが、今回は私の体験談、感想、取り組みなどがメインの話になります。今回はより定性的な話がメインになりますので、攻略記事ではなく、1つの読み物として読んでいただければ幸いです。

 

 さて、私の約20か月にわたる5NLzでの戦いの歴史ですが、大きく3つの期間に分けられると思います。5000BB強負けるまで右肩下がりのグラフを作り続けた「大敗北時代」①、上振れ下振れを繰り返しながら横ばいが続いた「停滞・迷走期」②、借金を一気に取り返した「浮上時代」③の3つの期間です。それぞれの時代ごとに詳しく書いていきたいと思います。

 

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5NLzを3つの期間に分けて分析

 

① 大敗北時代

 2NLzを大きく勝ち越して意気揚々と5NLzのステージに上がってきました。正直始めたときはさっさとブレイクして10NLzに進もうくらいの気持ちだったと思います。もちろんこの後5000BB負けるなんて思ってもみませんでした。

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5NLz始めたての私

 しかし、現実は非常に厳しかった。収益源であったレクリエーショナルプレイヤーの意味不明なブラフオールインを捕まえる機会が大きく減った一方、伝家の宝刀だったはずの「プレミアハンドぜんつっぱ戦略」は無理したところをレギュラーに捕まえられ、結果的に大きなポットを落とすことの方が多くなっていました。無理したところを捕まえられて、さらにプレイが雑になる。これの繰り返していたことでとうとう負け額は5000BBを超えるに至ったのです。

 

 ここまでくれば、さすがの私も気が付きます。

 

これはただの下振れではない・・・私の実力が足りていないのだ。

 

 これはポーカーに限った話ではないのですが、何かを上達するために必要な第一歩は、目の前の現実を受け入れることだと思います。自分の過去の経験やプライドなどが邪魔をして自分の正しい実力を受け止めきれないため、成長が遅れるというのはありふれた話ではありますが、ポーカーは運の要素が強く、正しく自分の実力を測るのが難しい競技のため、よりそういう悪癖を生み出しやすいゲームだと思います。

 

 10万ハンドをこなして、-5000BBは運が悪かったでは済まされないグラフです。私にも自分の弱さと対峙する時が訪れた瞬間でもありました。

 

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現実を受け止める私

  現実を受け止めた私はここで2つの新しい取り組みを導入します。一つは3面打ちから2面打ちへの変更、もう一つはポーカースノーウィーの導入です。

 

①3面打ちから2面打ちへの変更

 zoomのいいところはプリフロップで参加しないハンドをファストフォールドといって順番が来る前に降りることで、次のハンドにすぐに移行できることです。これを3面開いて打てば、2-3分に1回の頻度でプレミアハンドをプレイすることができるようになります。ただ、3面ともなると集中力が3面に分散してしまいますので、その分、1つのハンドに対する集中力は落ちてしまいます。ポストフロップの精度に課題があると考えていた私は、とにかくプレミアハンドをプレイするという方向性からポストフロップをじっくり考えてプレイするという方向へと転換し、3面打ちから2面打ちへと減らすことにしました。

 

②ポーカースノーウィーの導入

 一番気軽に購入できる座学用ツールであったため契約しました。自分のレベルでは細かいレベルまで活用することはできなかったので、まずはできる限り300ハンドごとにスノーウィーを回してエラーレートを確認。重大なエラーの内容を確認して、どこが間違っているのか確認するという作業を行っていました。細かいエラーは性格上見切れないのでスルー。スノーウィーは無茶なプレイに対しては非常に厳しいので、この作業を行うだけでも私の悪癖であったプレミアハンドのオーバープレイは格段に減ったと思います。

 

② 停滞・迷走時代

 スノーウィーを導入して無茶なプレイが減ったことでグラフが右肩下がりになることはなくなりました。一方で、メンタルコントロールには依然として課題があり、上振れているときには良いのですが、下振れているときには無駄なハンドでの参加やコールが増え、下振れ時の出費額が連鎖的に増えていました。結果として、上振れた分をその後の下振れで全部吐き出して、トータルでは横ばいという状況が続いていました。

 

 この頃の私の心境としては、こなしているハンド数であればその辺の人には負けない!という自信があった一方、収支は一向にプラスにならない期間が続いており、ポーカーをすればするほどフラストレーションがたまる状況でした。

 

 こうなると人間よくわからなくなってしまいます。いろいろ試行錯誤はしてみるのですが、完全に迷走です。この頃の私の迷走を2つご紹介しましょう。

1⃣ 球速が15KmUP!!

「強い精神は強い肉体に宿る」

 そう考えた私は、メンタルコントロールの強化を目的に筋トレを本格的に始めます。

元々24時間制のジムに登録していたので、今まで以上に精力的に通い始めました。

 

 3-4か月間、ベンチプレスなどの上半身を中心としたメニューに取り組んだ結果、肩幅は以前の2周りくらい大きくなりました。

 また、趣味で草野球をやっているのですが、バッティングセンターで計測したところ球速は15Kmほど上昇していました。昨年、投手として出場した試合では完全試合(時間制なので6回か7回)を達成するなど、筋トレの効果は着実に結果としてでています。

 

 結婚式などで久しぶりに友人に会ったりするとその体つきの変化に驚かれます。

友人「え?めっちゃごっつくなってない?何があったの?」

私「いや、ちょっと、ポーカーをうまくなりたくて・・・」

友人「??」

私「・・・・」

 

 

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そりゃそうだ。

 

 そんな感じでポーカーの成績は一向に改善しませんでしたが、肉体改造には成功するというよくわからな状況を迎えていました。現在も筋トレは継続しています。

 

 

2⃣ フルートを習い始める

 ポーカーというのは非常に高度な戦略ゲームであり、そこが知れないほど奥深い競技ではありますが、一方で、やってること自体はただのトランプ遊びです。

 このころの私は「いい年した大人の趣味がトランプめくりっていったいどうなっているんだ。もっと高尚な趣味もあるだろう。」という思考にいたっており、何か自分の身になるような新しい趣味を探し始めました。

 

 

 

 

 

「楽器を習おう!!」

 いかにも教養人的な素敵な趣味です。

 これで他人に「ご趣味は?」と聞かれても「楽器を少々・・」とマウントをとりながら答えることができます。ちなみに「ポーカー」と答えたことが何回かありましたが、そもそもポーカーが何なのか相手に理解されませんし、良い印象を与えたことはおそらくないでしょう。

 

 楽器を始めるにあたって、なるべく初期コストを抑えたい私は、知人が使っていない楽器を借りて始めることにしました。その楽器が「フルート」だったのです。

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 レッスンは月に1回、1on1形式で適当なスタジオを借りて行っています。

 まあ、正直なところ月に1回だと全然上達しません。最初の頃はまともに音も出なかったので、その頃に比べれば上達しているとは思いますが、楽器など触ったことがない人間にとっては楽譜を読むのも一苦労です。始めてから半年くらいたったレッスンの時に「四分音符って何ですか?」と純粋に質問したところ、先生が苦笑いしながら教えてくれたのをよく覚えています。

 

普通の人は知りませんよね? 四分音符。

 

 最初は音を出す練習だけでしたが、最近では簡単な曲も吹くようになりました。今はオーラ・リーに取り組んでいます。今後の目標は、ハンターハンターに出てくるセンリツのように3分間、音の世界にいざなえるようになることです。

 

③ 浮上時代

 このころになるとスノーウィーを回しても、重大なエラー数はかなり減ってきており、コンスタントにそれなりのスコアをとれるようになっていました。ボードの有利不利やナッツアドバンテージを考えることができるようになったことで、プレミアハンドを筆頭とする「気持ち的に降りられないハンド」がかなり減るようになったからだと思います。こうして、上振れ、下振れを繰り返しながらも、グラフの傾きは上方向に向かうようになってきました。

 

 30万ハンドを過ぎたころになると、もう1つ大きな変化がありました。

ポーカーの師匠ができたのです。

 

 私は常日頃からポーカーのコーチングに対して胡散臭さしか感じていない人間でした。有名プレイヤーが教えてくれる!みたいな企画をアミューズメントカジノやSNSで見かけますが、その人が有名であることと、上手いかどうかは話は別ですし、タイトルホルダーで肩書きがあるような人でも、感覚的にポーカーをやっている人では、教えてもらっても再現性が低くなるので参考にはなりません。

 

 私の師匠は、比較的新しくできたアミューズメントカジノの店員さんですが、元々海外でキャッシュプロをやられていた方で、私がリアルの世界で初めて出会った「ポーカーをちゃんと研究している人」でした。最初に、AKQゲーム(トイゲーム)の話からポーカーの基礎的な考え方を教わり、そこから、バリュー:ブラフ比に基づいたプレイラインの構築などを学びました。

 

 もちろん、これらの考え方を今のプレイにフル活用できているわけではありませんが、GTOから乖離しているプレイヤーに対する方策を真面目に考えるきっかけとなりました。マイクロステークスの主な特徴として考えられるのは①ベットがバリュー過多であること、②タフコーラーが多いことであると考えています。

 これらの対策として、

1⃣ 相手のベットに対しては降り過ぎと感じるくらい降りる(特にドデカベット)。

2⃣ よりハンドを絞って参加する。

3⃣ 自分が強いハンドを持っているときにはバリューをがっつり取りに行く。

 3つの戦略を取り入れました。2⃣についてはオープンレンジをゼロスレンジを元にプレイしていましたが、オープンかフォールドの境界線のハンドについてはフォールドを選択し、6MAXのVPIPが20%を切ることを目指していました。

 

 3⃣については、私の今までの大きな弱点でもありました。スノーウィーでの教訓をもとに、無茶なプレイを避けようとするあまり、バリューのとり逃しが発生しており、勝つときに大きく勝てない状況を生み出していたのです。対応策として、ベットする際に、強いハンドを持っているときは70%ベットを積極的に採用し、絡んでおらず、ボードが有利な際には33%ベットを採用しました。GTO的な考え方からいえば間違った戦略ですが、相手が乖離しているのであればOKだと思います。実際にそれを咎めてくるプレイヤーも5NLzにはいなでしょうし。

 

 また、メンタル面の対策として、20BB以上勝ったら利益確定をして、一度テーブルを離れるようにしました。大きく負けたときにテーブルを離れるのは難しいです。なぜなら、大きく負けたことによってあなたはすでに平常心を失っているのだから。取り返そうとやってしまう気持ちを止めることは容易ではありません。だからこそ、勝っていて余裕があるときにこそ、こまめに休息をとり、常に平常心でプレイできるように工夫しました。まあ、負けたときにすぐにテーブルを離れられる人はそっちの方がいいと思います。

 

 こうした取り組みがすぐに効果が表れ、一気に借金を返済するに至りました。

 結果的に約20か月もの時間を費やした形にはなりましたが、迷走していた時代を含めて多くのものを学ぶことができた時間でした。

 

 今一度言わせていただきますが、

5NLzを勝ち越すことは簡単なことではありません!!

 

 これは勝ち越すために高度な勉強が必要であることを意味しません。

おそらく、過度のオーバープレイを無くし、メンタルコントロールとほんの少しのエクスプロイトができれば勝ち越せるステークスなんだと思います。ただ、それが難しいのです。

 

 私と同じようにマイクロステークスで勝ち越せず、もがき苦しみ、試行錯誤されていている同志が読者の中にもいらっしゃると思います。試行錯誤してポーカーと向き合った時間は無駄にはなりません。大事なのは、考えながらその中で自分なりの正解を見つけられるか否かだと思います。時間がかかってもいいのです。株式市場において「休むも相場」という格言があるように、「休むもポーカー」でうまくなるためにポーカーを休むの1つの有意義な取り組みだと思います。私はたくさん遠回りをしました。いろいろ試行錯誤をしながらグラフを上向きに持っていくのがオンラインポーカーの楽しみだとも思います。

 

 最後に、読者の皆様のポーカーライフがより充実することを祈りつつ、今回の5NLz奮闘記を締めさせていただきます。読んでいただきありがとうございました。